- 英語を聞き取れるようにならずに悩んでいる
- 英語初心者でもリスニング力を効率的に伸ばせる学習法を教えてほしい
- ディクテーションのやり方が合っているか不安だ
80点英語ブログ運営者のゆうです。
英語を勉強している社会人の多くが「英語を聞き取れない」「ネイティブとの会話についていけない」などリスニングに関する悩みを抱えています。
私自身、海外駐在時代に職場での英語やりとりに苦労した経験がありますが、そんな私のリスニング力を劇的に改善できた学習法が「ディクテーション」でした。
そこで本記事では、リスニング力を伸ばしたい社会人におすすめしたいディクテーションの正しいやり方と学習効果、失敗しない教材の選び方について詳しく解説していきます。
- 日本生まれ日本育ちの社会人(TOEIC初回スコア480点)
- 正しい英語学習法と出会い、1年間でTOEIC865点を獲得
- その後4年間の海外駐在を経て、現在も海外ビジネスに従事
- 【保有資格】TOEIC:945点、TOEFL:103点
ディクテーションとは?
ディクテーションとは、英語音源を聞いて、その内容を一語一句書き取るリスニング学習方法です。
単なる”聞き流し”と異なり、聞き取った音を正確に文字に起こす必要があるため、相応の集中力と学習負荷がかかりますが、英語の細かい音や文の構造に対する感覚が鋭くなり、効率的なリスニング力の向上が期待できます。
具体例として、次の英文を用いたディクテーションの取り組みフローを紹介します。
“I have to go to work early today.”
まずは音源を一度再生して、耳から聞こえた通りに英文を書き出していきます。
最初は「I hafta … go … wor.. ari.. today」のように、うまく聞き取れずに空欄が多かったり、一部のスペルしか書き取れないかもしれません。
しかし、ここですぐに正解の音源スクリプトを見ないで何度も音源を再生しながら、これ以上聞いても書き出せないと思うまで英文を再現していきます。
その上で、自分が書き取った英文と実際の音源スクリプトを見比べて、聞き間違いや聞き取れなかった部分を把握して、その原因を客観的に確認していきます。
例えば、「have to」を「hafta」と書き出していた場合、「have to」を「ハフ・トゥー」という音でしか認識できておらず、リアルな会話におけるスペルと発音の結びつきを捉えられていなかったことを意味しています。
答え合わせが終わったら、聞き取れていなかったパートを中心に音源と同じ発音を再現できるまで音読を繰り返すことで、今後似たような表現やフレーズが登場しても瞬時に英語の音を聞き取れるようになります。
このように、ディクテーションは「英語を正確に聞き取る耳」を育てられる地道ですが確実なトレーニング法なのです。
ディクテーションで英語を聞き取れるようになる理由
ディクテーションで英語を聞き取れるようになるのは、実践的なリスニング力に不可欠な下記3スキルを効率的に鍛えられるからです。
- 英語の音とスペルの結びつき
- 文法構造を意識した聞き取り
- 英語の音声変化
それぞれ詳しく解説していきます。
英語の音とスペルの結びつき
ディクテーションでは聞き取った英単語を1語ずつ丁寧に書き取るため、英語が持つ音とスペルの認識を一致させる点で非常に高い学習効果が期待できます。
英語は「実際に発声される音」と「書かれた文字の音」のギャップが大きい言語と言われています。
例えば、「probably」という英単語をスペル通りに読むと「プロバブリー」となりますが、英語ネイティブは「プラブリー」と発音するため、知っている単語なのに音を聞き取れないという事象が発生するのです。
ディクテーションでは、聞き取った英語の音を文字に変換する作業を繰り返すことで、英語が持つ正しい音とスペルの結び付きを脳が自然と認識できるようになるのです。
文法構造を意識した聞き取り
ディクテーションに取り組むことで、英文の文法構造を捉えながら英語の語順で聞き取れるようになります。
ディクテーションでは、実際にネイティブが発話するような自然な文法表現や英単語で構成された上質な英文を書き取るプロセスを繰り返すため、「主語の次に動詞、その後ろには目的語や補語が来る」など聞き取った英単語の後ろにどのような役割の英単語が続くかを自然とイメージできるようになります。
さらに、音をうまく聞き取れないフレーズや単語に遭遇した際も、前後の英単語との繋がりや文章全体の流れを意識しつつ頭の中で意味を補いながら聞き取る癖がつくため、文法構造を捉えるスキルが飛躍的に伸びるというわけです。
このように聞き取った英語の文法構造を瞬時に理解して英語の語順で意味や音を捉えられるスキルは、実際の英会話でも非常に役立つ武器になります。
英語の音声変化
ディクテーションの大きなメリットとして、英語の音声変化を効率的に体得できることが挙げられます。
英語ネイティブが会話をする際、必ずしも英単語を1語ずつ丁寧にはっきり発音せず、単語同士をくっつけたり部分的に省略するなどして発音を変化させています。
例えば、「get it」は「ゲット・イット」ではなく「ゲリッ」と発音されますが、ここでは変化(フラッピング)と脱落(リダクション)という2種類の音声変化ルールが適用されています。
英語の音声変化は上記2つを含む計5つのルールで構成されているため、5つの音声変化パターンを正しく把握してから多種多様な英語音源に触れながら身体に馴染ませていくことが効果的な学習アプローチになります。
- 連結(リンキング)
- 脱落(リダクション)
- 変化(フラッピング)
- 同化(アシミレーション)
- 短縮形(コントラクション)
そして、英語の音とスペルの結びつきを認識しながら、聞き取りと書き出しを繰り返すディクテーションは、まさに英語の音声変化を体得するのに非常に効果的なリスニング学習法と言えるわけです。
ディクテーションの学習効果を高める正しいやり方
前章では、ディクテーションで英語が聞き取れるようになる理由について、ディクテーションの学習効果の観点から解説しました。
本章では、そんな魅力的な学習効果を最大限発揮できるディクテーションの正しいやり方を以下5ステップで解説していきます。
- 短めの英語音源を用意する
- 音源全体を通して聞く
- 1文ずつ再生しながら書き取る
- 音源スクリプトで答え合わせ
- 繰り返し音読する
ステップ1:短めの英語音源を用意する
まずは、ディクテーションで用いる英語音源を用意します。
ディクテーション音源の失敗しない選び方は次章で詳しく紹介していますが、ディクテーションは相応に学習負荷の大きいトレーニングのため、最初は30秒〜1分程度の短めの音源を選ぶことをおすすめします。
長すぎる音源は集中力が続かずに挫折の原因になる恐れもあるので、無理なく日々の学習を継続できる長さから始めることを忘れないでください。
ステップ2:音源全体を通して聞く
自分に合った英語音源を用意できたら、すぐにディクテーションに取り組まずに音源全体を通して精聴してください。
この時点で一言一句漏らさずに聞き取る必要はありませんが、その音源の大まかな内容と話の流れを掴んでおくことが後続のディクテーション作業の効果を高める秘訣となります。
ディクテーションは英文を1文ずつ再現できるまで丁寧に聞き取っていくため、話の全体像を掴むのには向いていません。
一方で、あらかじめ音源の概要を把握しておくと、前後の文脈や話全体の流れから意味や英語フレーズを類推しながらの聞き取りができるため、書き出しの精度が高くなり学習効率の向上が期待できるのです。
ステップ3:1文ずつ再生して書き取る
下準備が終わったら、いよいよ本格的にディクテーションに取り組んでいきます。
英語音源を1文ずつ区切りながら再生して、聞き取れた内容を紙に書き取っていきましょう。
この時、1回目のリスニングで完璧な書き取りを目指す必要はなく、聞き取れなかった部分は一旦ブランクにしておいて、何度も音源を再生しながら聞き取れた部分を少しずつ埋めていくことが重要です。
「聞く→可能な限り書き出す→聞き取れなかった部分に集中して聞き返す」のサイクルを丁寧に繰り返すことで、リスニング精度と集中力が上がっていき、聞き取れる部分が徐々に増えていくはずです。
ステップ4:音源スクリプトで答え合わせ
これ以上音源を聞き返しても書き取れないところまでやり込んだら、書き取った内容と音源スクリプトを比較して答え合わせをしてください。
「そもそも書き取れなかったフレーズ」や「書き取ったが間違っていたフレーズ」を整理して、自分が聞き取れなかった原因を分析していきます。
「発話テンポが速すぎた?」「知らない単語だった?」「音声変化を掴めなかった?」など、聞き取れない原因を特定した上で適切な対策を講じていくことで、実践的なリスニング力が着実に身につくはずです。
ステップ5:繰り返し音読する
ステップ4で特定できた「聞き取れなかった部分」を中心に繰り返し音読をしていきましょう。
聞き取れない原因や音声変化のルールを把握しただけだと、いつまで経っても英語を聞き取れるようにはなりません。
実際に口を動かして正しい英語の音を再現できるまで繰り返し発声することで、実践でも通用するリスニング力を体得できるのです。
具体的な音読のやり方ですが、英語の音の理解に特化したい方にはオーバーラッピング、英語の音と意味を同時に理解できるようになりたい方にはシャドーイングがおすすめです。
以下の記事でそれぞれの正しいやり方を詳しく解説しているので参考にしてください。
ディクテーション教材の失敗しない選び方
ディクテーションの学習効果を最大限発揮するには、自分に合った適切な教材選びが不可欠です。
そんなディクテーション用の教材選びで失敗しないために押さえておくべきポイントは以下3点です。
- 音源スクリプト付き
- 自然なネイティブ音声
- 自分のレベルに合っている
それぞれ詳しく解説していきます。
音源スクリプト付き
ディクテーション教材を選ぶ上で最も重要なのが、音源スクリプト有無の確認です。
ディクテーションとは、聞き取った英語と正解の英語を比較しながら苦手な英語の音を把握して、適切な対策を講じることでリスニング力を効率的に伸ばせる学習方法です。
スクリプトがない教材を選んでしまうと、ディクテーションの学習ステップで最重要な正しく聞き取れたかどうかの確認ができないため、学習PDCAを回せずに上達スピードが落ちてしまうので注意してください。
自然なネイティブ音声
実践的なリスニング力を身につけたい場合、英語ネイティブが自然に発話している音源を選ぶことをおすすめします。
例えば、市販の学習教材に収録されている英語音源の中には、英語初心者でも無理なく取り組めるように、ゆっくりハキハキと発声している音源も多数あります。
勿論、このような英語音源を用いたディクテーションでもリスニング力の向上は期待できますが、自然な発話スピードの中で生じる英語の音声変化に対応できるようになりません。
ビジネス現場でも無理なく英語を聞き取れる状態を目指すなら、「本物の英語の音」に慣れておくことがリスニング力向上の近道になります。
自分のレベルに合っている
収録されている英語音源の内容が自分のレベルに合っているかも必ず確認してください。
知らない単語や難しい文法表現ばかりで構成されている英語音源を選んでしまうと、単語や文法の復習に学習時間が割かれてしまい、肝心のリスニング学習が後回しになってしまいます。
さらに、難しすぎる英語音源を選んでしまうと殆ど聞き取れずに、書き取り作業にも膨大な労力と時間を費やすことになるため、挫折の原因になりかねません。
実際に収録されている英語音源のスクリプトを一読してみて、辞書を弾かなくても大まかな内容を理解できる教材を選ぶようにしましょう。
レベル別:おすすめのディクテーション教材
ここでは、上記の教材選びのポイントを踏まえて、初心者〜中級者レベルの方におすすめできるディクテーション教材を紹介します。
それぞれの特徴を簡単に解説していますので、自分のレベルや目的に合ったものを選んでみてください。
初心者におすすめのディクテーション教材3選
- ゼロからスタート英語を聞きとるトレーニングBOOK
- 究極の英語ディクテーション
- BBC Learning English
ゼロからスタート英語を聞きとるトレーニングBOOK
書籍名のとおり、ディクテーション未経験者でも無理なく取り組める構成になっています。
1レッスンが10分程度の学習で終了するように設計されているので、仕事で忙しい社会人でも続けやすい点も魅力の1つです。
英語音源は短文から会話、アナウンス、ニュースまで様々な素材で練習できるよう工夫されていて、1ヶ月という短期間でリスニング力を中上級レベルまで高めることができます。
究極の英語ディクテーション
本書も、これまでディクテーションをしたことのない初心者向けの教材です。
発音や文法など英語を聞き取れない具体的な原因を把握して、それらを効果的に克服できる充実した解説が本書の魅力の1つです。
また、1回あたりのディクテーションもちょうど良い作業負荷になるよう調整されているため、スキマ時間を有効活用したリスニング学習が可能となっています。
さらに、発話スピードや英語アクセント、口調など幅広いタイプの英語の音が収録されているため、初心者でも実践的なリスニング力を鍛えることができるのは有り難いですね。
BBC Learning English
BBC Learning Englishは、イギリスの公共放送局「BBC」が提供している基礎英語ニュースや会話レッスンの無料配信サービスです。
英語学習者向けにコンテンツを提供しているため、掲載されている動画や音源は英語初心者でも聞き取りやすく、英語字幕機能も搭載しているのでディクテーション学習に適しています。
ビジネス現場でそのまま使える「Office English」や日常英会話に特化した「The English We Speak」、楽しく文法を学べる「The Grammar Gameshow」など、学習目的別に数十個のコンテンツが用意されているので、自分に合った教材を探してみてはいかがでしょうか。
中級者以上におすすめのディクテーション教材3選
- 英語を聞きとる力が飛躍的にアップする新メソッド 10秒リスニング
- 最強のリスニング学習法
- TED Talks
英語を聞きとる力が飛躍的にアップする新メソッド 10秒リスニング
本書は、TOEICスコア500〜600点以上の中級者向け教材で、社会問題や経済、国際問題など社会人が押さえておきたい最新トレンドを題材とした音源が60本収録されています。
音源内容は中級レベルですが、音源の長さは1本あたり10秒と非常に短いため、ディクテーションの学習効果を落とすことなく作業負荷を低減している点は本書の大きな特徴の1つです。
スキマ時間を有効活用して1日1本、2ヶ月継続できればビジネス現場で活かせるリスニング力を身につけられるはずです。
最強のリスニング学習法
本書は、アメリカの大手ニュース「CNN」を題材とした教材で、さまざまな時事ネタに関する30本の英語音源を収録しています。
実際にCNNで放送されたリアルな英語音源だけでなく、同じスクリプトをゆっくり丁寧に発声している音源も収録されているため、中級者以上だけでなく初級者でも扱いやすい教材となっています。
また、ディクテーションだけでなく、スラッシュリーディングやシャドーイングなどの効果的な英語学習方法にも対応した構成になっているので、総合的な英会話スキルを身につけたい人には必読の1冊と言えます。
TED Talks
TED Talkは、世界中の著名人によるプレゼンテーションを無料で視聴できる人気動画配信サービスです。
TED Talkには、ビジネスや経済、AI、ヘルスケアなど多種多様なジャンルのプレゼン動画が用意されているため、自身が興味のあるテーマの音源も必ず見つかるはずです。
Youtubeではなく公式サイトから動画を視聴すれば、スクリプトや字幕の表示機能など利用できるため、リアルな英語プレゼンの音源を使った実践的なディクテーション学習が可能です。
ディクテーションに関するQ&A
- Q英語音声を聞き取れない・できない時はどうすれば良いですか?
- A
繰り返し聞いたり、速度を落としたりしても聞き取れない場合は、音声の難易度が高すぎるのかもしれません。
多少聞き取れるくらいの音声から始めて、だんだんレベルを上げてチャレンジしてみてください。
- Qディクテーションだけで英語力は上がりますか?
- A
リスニング力には確実に効果がありますが、「聞く」だけでは英語力全体は伸びにくいです。音読やシャドーイングと組み合わせると、発音・語彙・スピーキング力にも効果が広がります。ディクテーションを“起点”に、他の学習法にも発展させていくのがおすすめです。
- Q続けるのが苦手です。どうすれば習慣化できますか?
- A
習慣化のコツは「ハードルを下げる」ことです。たとえば「毎朝コーヒーを飲みながら1文だけやる」「通勤中にアプリで5分だけ聞く」など、日常生活に溶け込ませると続けやすくなります。最初は短時間でもOK。続けることで学習が生活の一部になります。
- Qディクテーションって初心者でも効果ありますか?
- A
はい、むしろ初心者こそ効果を実感しやすい学習法です。ディクテーションは、英語を「なんとなく聞く」のではなく、「一語一句しっかり聞く」訓練です。聞こえない単語に気づき、正しい発音や文法にも意識が向くようになります。最初は聞き取れないのが普通なので、焦らずコツコツ取り組むことが大切です。
- Qディクテーションをしても、なかなかリスニングが上達している実感がありません。
- A
ディクテーションは「即効性」より「蓄積型」の学習です。最初の1〜2週間では効果を感じにくいですが、1ヶ月後には「あれ?前より聞こえる!」と感じられる瞬間が必ず訪れます。日々の記録(ノートやアプリ)をつけて、自分の変化を見える化するとモチベーションが上がりますよ。
まとめ
本記事では、リスニングが苦手な人でも英語を聞き取れるようになるディクテーションの効果的なやり方と失敗しない教材選びのコツについて解説しました。
ディクテーションは、聞き取った英語を手を動かして書き出していく作業負荷の大きいトレーニングですが、苦手な英語の音と聞き取れない原因を正確に把握して対策できるため、非常に学習効果が期待できます。
作業負荷の大きさから勉強を続けられずに挫折してしまっては元も子もありませんが、本記事を参考にして無理なく継続できる自分に合った教材を見つけて、正しいやり方でコツコツ取り組めば必ず英語を聞き取れるようになります。
本ブログでは、社会人向けに実践的なビジネス英語スキルを最短ルートで体得できるおすすめ学習方法を紹介しているので、他記事もぜひ参考にしてください。
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