
- 英語初心者でも取り組める効果的なリスニング勉強法を探している
- シャドーイングの正しいやり方を知りたい
- シャドーイングを試したけど効果を実感できなかった
80点英語ブログ運営者のゆうです。
頑張って英語学習を続けているのに一向に英語を聞きとれるようにならない悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか。私自身、元々リスニングが大の苦手でTOEICスコアも悲惨でした。学生のころから英語学習に時間をかけて努力していたので「自分には英語の才能がない」と落ち込んでいました。
しかし社会人3年目で出会ったシャドーイングが、私のリスニング力を劇的に成長させてくれたのです。TOEICスコアはAランクの860点超、TOEFLは欧米難関大学の入学基準である100点超を獲得。日々の業務でも海外社員とのリモート会議を主導しています。
本記事では、そんな私の仕事人生を大きく変えたシャドーイングの正しいやり方を解説します。
シャドーイングとは?
シャドーイングとは、英語を聞きながら影(shadow)のように追いかけて声に出して読むリスニング学習法です。英語音源の音のリズムや文構造を正確に把握した上で、文頭から意味を追いながら自分の口を動かして発声することで、リスニング実践力に必要不可欠な英語の音を理解するスキルと英語の意味を理解するスキルを体得できます。
ただし、シャドーイングの学習効果は正しいやり方で実践することで初めて発揮されます。「シャドーイングは学習効果がない」というコメントを見たことがあるかもしれませんが、その人のシャドーイングのやり方が間違っているケースが大半と言えるでしょう。
シャドーイングの正しいやり方
シャドーイングは闇雲に英語を聞いて音読すればいいわけではありません。シャドーイングの学習効果を最大限引き出せる正しいやり方を以下3ステップで解説していきます。
- 音を理解するスキルの習得
- 意味を理解すスキルの習得
- 理解した音と意味をリンクさせるスキルの習得
ステップ1:音を理解するスキルの習得

簡単な英単語や英語表現で構成された読み取りやすい英文でも、リスニングになると途端に聞き取れなくなる経験はありませんか?知っているはずの英語を聞きとれない最大の原因は、英語の音のルールに慣れていない状態で英語を聞き取ろうとしているため。
ステップ1では日本語とは異なる英語の音のルールを理解して、英語の音を正しく聞きとるフォームを体得します。
音の理解力を確認
まずは以下の手順で、現時点でどれくらい英語の音を理解できているか確認してください。
- 事前にスクリプトを読まずに3〜4回シャドーイングして大まかな内容を掴む
- もう1度スクリプトを読まずにシャドーイングする(自分の声を録音する!)
- 録音したシャドーイングと音源を聴き比べて自分の弱点を把握する
自分の英語とネイティブの英語を聞き比べると「口が回っていない」「リズムがズレている」「会話ペースに追いついていない」といった課題部分が見えてきます。これらがまだ自分が理解できていない英語の音です。
英語初心者であれば、恐らくほとんどシャドーイングできなかったと思います。これから本格的なリスニング学習に取り組むのですから今は間違えて当たり前。力試しの結果を気にせずに学習を進めてください。
英語の音のルールを理解
自分の苦手な音を把握できたら、次に英語の音のルールを覚えていきます。英語の音のルールを理解するために「スクリプトの精読」と「音源の精聴」の2つの方法を用います。それぞれ解説します。
スクリプトの精読
そもそも知らない英語をいくら聞いても内容を理解できるはずがありません。英語の「音」の学習に集中するために、事前準備として音源スクリプトの精読を通じて意味のかたまりを把握していきます。
意味のかたまりとは複数の単語を組み合わせて1つの意味を成している「節」や「句」のことで、ネイティブは意味のかたまりを軸に音のリズムを形成しています。
My generation enjoys / a lot more leisure time, / which makes our lives more fulfilling / and enables us to / follow our passions.
かたまりの切れ目を入れる場所は人の好みによって多少異なりますが、英文構造的に区切ってはいけない場所も存在します。
先ほどの例文だと「which make our lives more fulfilling」は「S make O C (SはOをCにする)」という5文型で構成されています。そのため「which make our lives / more fulfilling」のように間に区切りを入れてしまうと基礎文型を壊してしまいます。
かたまりの切れ目を適切に見抜くためには英語の基礎力が不可欠です。不安な人はリスニング学習の前に語彙力や文法知識の習得を優先しましょう。
少しでも早くリスニング学習に取り組みたい人は、既に意味のかたまりで区切ったスクリプトを掲載している参考書を選ぶことでシャドーイングに専念できます。私のバイブルである「究極の英語学習法 K/Hシステム」では、本記事で紹介しているシャドーイングのやり方に沿って、意味のかたまりで区切られた音源スクリプトを含む正しいシャドーイング学習に必要な素材が揃っています。

音源の精聴
意味のかたまりを把握して英語音源を「知っている英語」にできたら、音源の精聴を通じて英語の音のリズムに慣れていきます。「音のリズムってなに?」と疑問を持った人もいると思うので、簡単に解説します。
例えば「potato」という英単語の日本語と英語の音のリズムは、それぞれ以下のようになります。
- 【日本語】po•ta•to → ポ・テ・ト
- “po”と”ta”と”to”に等しくストレスをかけた3拍子(ビート)で一定のリズム
- 【英 語】potato → ポティトゥ
- 真ん中の”ta”に強いストレスをかける一方、前後の”po”と”to”は軽く流して、”ta”にリズム波形の山部分が重なるような1拍子(ビート)のリズム
上記の通り、日本語は全ての音節にビート(拍子)が入りますが、英語ではストレスをかける音節のみにビート(拍子)が入っています。これが日本語と英語の音のリズムの違いです。
単語レベルで音のリズムの大まかなイメージを持てたところで、次は文章レベルで音のリズムを確認します。文単位の音のリズムは、基本的に以下2つのルールに従って形成されます。
- 意味を持つ単語(名詞・動詞・形容詞など)は力を込めてゆっくりと発音
- 文法構造を示す単語(冠詞・接続詞・前置詞など)は力を抜いて流れるように発音
ただし、話し手が意味のかたまりの中でもどこに重点を置くかによってストレスをかける場所も変わります。同じ文章でも人や場面が変われば音のリズムも変わることは覚えておきましょう。
- I studied English with my colleagues yesterday.
- 英語を勉強したことが重要なケース
- I studied English with my colleagues yesterday.
- 同僚と勉強したことが重要なケース
- I studied English with my colleagues yesterday.
- 昨日勉強したことが重要なケース
また、日本語と英語の音のリズムの大きな違いとして抑揚の有無があります。日本文では全ての音節に一様にストレスがかかり文全体を通じて音に抑揚が生じません。一方、英文ではストレスがかからない単語があることに加えて「potato」のようにストレスがかかる単語の中でも音の強弱が生じるため、舞台演劇にように抑揚の効いた話し方になります。
音源を何度も聞き返しながら、どこにストレスをかけてどのようなリズム波形を構築しているのか確認してください。シャドーイング教材に直接リズム波形やストレス印を書き込んで、音のルールを記した自己流スクリプトを作成するのもおすすめです。
自力で音のリズムを把握する自信がなければ、先ほども紹介した「究極の英語学習法 K/Hシステム」のように既にリズム波形やストレス印が書き込まれたスクリプトが用意されている教材を選びましょう。
英語の音の正しい聞きとりフォームを体得
スクリプトの精読と音源の精聴による英語の音のルールの理解が完了したら、英語の音の正しい聞き取りフォームを体得して音のルールを理解している状態から音のルールを踏まえて英語を聞きとれる状態を目指します。
正しい聞きとりフォームは、音源のネイティブ英語を限りなく正確に再現できるまでシャドーイングを繰り返し行うことで体得できます。目安として、英語音源と録音した自分のシャドーイング音声を聴き比べてミスが合計10個未満になったら合格です。
実際にシャドーイングに挑戦してみるとわかりますが、事前準備で英語の音のルールを理解していていたとしても想像以上にミスをしてしまいます。何十何百回と音のルールを意識しながらシャドーイングを繰り返して、少しずつ100%の精度に近づけていきましょう。
教材音源の英語の音をより正確に再現するためのコツを3つ紹介します。これら3つを同時に意識することが難しければ、最初は1つずつ意識しながらシャドーイングしてみてください。
- 音の高低ではなく圧力の強弱でストレスを表現する
- ストレスは母音からではなく子音から力を込める
- ストレスをかけない母音はあいまいに発声する
音の高低ではなく圧力の強弱でストレスを表現する
日本人が英語を聞きとれない原因の一つは、英語の発音ではなく圧力の強弱に慣れていないこと。
英語の音のリズムは、ストレスをかける部分はゆっくり力を込めて発声しつつ、ストレスがかからない部分は力を抜いて曖昧かつ早いペースで発声することで作り出されています。
シャドーイング練習では、力を入れる部分と力を抜く部分を常に意識するようにしましょう。
ストレスは母音からではなく子音から力を込める
英単語帳に記載されている発音記号では、音節の母音にアクセント記号がついているため母音に力を入れてしまいがちですが、実際には母音の手前にある子音からストレスをかけます。
例えば「考える」という意味の英単語「think」では母音「i」の上にアクセント記号がついていますが、実際には手前の子音「th」から大きく息を吸い込んで、勢いよく、力強く音を爆発させるように「スィンク」と発声します。
このとき、ストレスの入る音節の母音には力を込めずに、手前の子音にかけたストレスの余韻を残しながら正確かつたっぷりめに母音を発音する意識を持つとより正確にネイティブ英語の音を再現できます。
ストレスをかけない母音はあいまいに発声する
ストレスを入れない部分は、力を抜いてす〜っと発音されると説明しました。力を入れないため母音もあいまいに発音されます。特に脱力させて素早く発声する音節では、母音自体がなくなってしまうケースもあります。
例えば以下の英文では、赤太字パートにストレスがかかり、リズム波形の山が赤太字に重なった3拍子(ビート)の音のリズムで発話されます。
I think it will be sunny tomorrow.
ストレスがかかる「think」と「sunny」に挟まれた「it will be」というフレーズは、波形の谷部分と重なり力を抜いて早口で発声するため、単語同士がつながり「イルビー」と発音されます。
日本語の音のルール通りに全ての音節にビートを入れて「イット・ウィル・ビー」とゆっくりハキハキと発声してしまうと、ネイティブ英語のリズムとズレてしまうだけでなく音源スピードにも追いつけなくなり、いつまで経っても正確なシャドーイングを達成できないため注意が必要です。
ステップ2:意味を理解するスキルの習得

ステップ1をやり遂げて英語の音を理解する力を習得できても、まだ英語を聞きとれるリスニング力は身についていません。英語を聞きとれるようになるには、「音を理解する力」に加えて「意味を理解する力」の習得が不可欠です。
ステップ2では、実践でも役立つ英語の意味を理解する正しいフォームの体得を目指します。
音を理解した英文で意味の理解力を確認
既に英語の音を理解している音源を改めて聞いて、どの程度意味を理解できるか確認します。確認方法は以下の手順に従ってください。
- 音源を再生して1文を聞いたら再生を止める
- 内容を頭の中で整理する(2〜3秒以内が目安)
- 整理した内容を自分の言葉で説明する(自分の声を録音する)
- 1〜3の作業を音源の最後まで繰り返す
- 録音した自分の説明が教材の内容と一致しているか1文ずつ確認する
大まかな内容が合っていても単語のつぎはぎで適当な日本語に訳していたり、意味を掴めなかった部分を推測混じりで補完している場合、正しく意味を理解できているとは言えないので注意してください。
音から意味を理解するプロセスを理解
英語を読んで意味を理解する場合、文頭から文末まで行ったり来たりして英文構造を把握しながら時間をかけて意味を理解することも可能です。しかし英語を聞いて意味を理解する場合、話し手の英語の音を文頭から追いかけながら意味を把握しなければ間に合いません。
多くの日本人がリーディングと同じやり方でリスニングで英語の意味を理解しようとするため、リスニングになると途端に意味を理解できないのです。裏を返せば、リスニングの意味の聞き取りフォームを習得してしまえば、自然と英語を聞きとれるようになるわけです。
正しい意味の聞き取りフォームは以下の学習ステップで身につけていきます。
- 意味のかたまりを見抜いて英文を区切る
- 普段使いの日本語表現で意味を掴む
- 構文パターンや英文構成の特徴を意識して先読みで意味を追っていく
意味のかたまりを見抜いて英文を区切る
ステップ1の「英語の音のルールの理解」でも解説しましたが、1文ずつ英文構造を把握しながら意味のかたまりを見抜いて斜線を引いていきます。文法ルール的に区切ってはいけない場所もありますが、人によって多少の違いは出てくるものなので、あまり考えすぎずに作業を進めてください。
以下英文では、赤斜線を引いて5つの意味のかたまりに区切っています。
My generation enjoys / a lot more leisure time, / which makes our lives more fulfilling / and enables us to / follow our passions.
普段使いの日本語表現で意味を掴む
意味のかたまり単位で英語を日本語に変換する際には、普段使いの日本語表現を使ってください。
教科書的な堅苦しい表現ではなく日常生活の中で馴染みのある言い回しで英語を理解することで、日本語訳ではなくイメージで意味を捉えられるようになります。最終的には英語を英語で理解する感覚を習得することも可能です。
- My generation enjoys /
- 私の世代は楽しみます→同世代のみんなは楽しんでいるよ
- a lot more leisure time, /
- よりたくさんの余暇時間を→もっと自分の時間を
- which makes our lives more fulfilling /
- それは私たちの生活をより充実させます→おかげで人生をさらに満喫できるんだ
- and enables us to /
- そして私たちが(to以下)するのを可能にします→それに(to以下)もできるようになるよ
- follow our passions. /
- 【堅い表現】自らの情熱に従う→【普段の表現】やりたいことに熱中できるようにね
構文パターンや英文構成の特徴を意識して先読みで意味を追っていく
返り読みをせずに文頭から通して意味のかたまりをつかみ繋げていくには、「構文パターン」と「英文構成」の特徴を正しく理解し使いこなす必要があります。
「it is 形容詞 for 人 to 動詞」「make/let/have(使役動詞) 人 動詞」などの構文パターンや「概要→詳細」「結論→説明」の英文構成の流れを理解できれていれば、次に登場するフレーズや話題を推測しながら先読みで意味を理解できるようになります。
意味を先読みしながら音源スクリプトを読む練習を繰り返すことで、返り読みをせずに文頭から意味を追える正しい聞き取りフォームを理解できるようになります。
- My generation enjoys /
- 同世代のみんなは楽しんでいるよ「何を楽しんでるのかな?」
- a lot more leisure time, /
- もっと自分の時間を「次のかたまりがwhichで始まっているから、ここまでが主格になるのか」
- which makes our lives more fulfilling /
- おかげで人生をさらに満喫できるんだ「次のかたまりがandで始まっているからまだwhich構文が続くのかな?」
- and enables us to /
- それに(to以下)もできるようになるよ「何をできるようにするんだろう?」
- follow our passions. /
- やりたいことに熱中できるようにね
音から意味を理解する正しい聞きとりフォームを体得
ステップ2の仕上げでは、英文精読で理解した正しい聞き取りフォームを実際に使いこなせるようにします。
具体的には、意味のかたまりの区切りで音源を一時停止して、構文パターンを意識して先読みしつつ日常の言葉使いで日本語訳ができたら、次のかたまりの区切りまで音源を再生します。
作業負荷が大きいため慣れないうちは音源のポーズ時間が長引いて全体の学習時間も相応にかかってしまいますが、次第に日本語訳のスピードが上がっていきポーズ時間も短くなっていくはずです。
最終的には、音源を止めることなく音源と同じペースで日本語に訳して意味を追えるようになる状態を目指します。これが音から意味を理解する正しい聞き取りフォームを体得できた証です。
ステップ3:理解した音と意味をリンクさせるスキルの習得

ステップ1・2で英語の音と意味の正しい聞き取りフォームを習得できたら、最後に正しく聞き取った「音」と「意味」をリンクさせてリスニング実践力を鍛えます。
作業内容は至ってシンプル。音源を聞いて頭の中で意味を文頭から追いながらシャドーイングを繰り返します。意味の理解に気をとられて正確に音源の英語の音を再現できなかったり、音の再現に集中しすぎて文頭から意味を追えていなければ、学習効果を十分発揮できないので注意してください。
音の正確な再現は必須ですが、同時に意味を理解することが難しければ、まずは意味を気にせずに構文だけを追いながらシャドーイングしてください。
- My generation enjoys /
- enjoyは他動詞だからこのあと目的語がくるな
- a lot more leisure time, / which
- which節が続くからSVO構文の主文を補足していくんだな
- makes our lives more fulfilling / and
- andが登場したからまだwhich節の補足が続くのかな
- enables us to /
- enable to の後は動詞がくるぞ
- follow our passions. /
- ここまでがwhich節で、ここから新しい英文に移るんだな
音の正確な再現と意味の後追いができるようになったら、自分自身が音源の話し手になったつもりで感情を込めてシャドーイングしてみましょう。
感情を込めて身振り手振りも加えながら表情豊かに発声する練習を繰り返すうちに、まるで本当に自分の言葉で英語を話し伝えている感覚になります。この時、頭の中には既に日本語訳は存在していない(意識していない)でしょう。これが英語を英語で理解している感覚に近づいている証拠です。
なかなか音を正確に再現できなかったり意味を追えるようにならない場合、ステップ1・2での練習不足が原因かもしれません。必要に応じて前ステップに戻って「音」と「意味」の正しい聞きとりフォームを改めて習得してください。
まとめ
本記事では、実践で役立つリスニング力を身につけられるシャドーイングの正しいやり方について紹介しました。
シャドーイングは一瞬で英語を聞きとれるような魔法のアイテムではありません。今回紹介したシャドーイング学習方法に挑戦された方は、予想以上に時間と体力を使って疲れ切っているはずです。
英語初級者は、1つの音源教材を仕上げただけではリスニング力の変化を実感できないかもしれません。しかし、体得した英語の音と意味を理解するスキルがあれば、新しい音源に挑戦するたびに学習時間・負荷が減っていき、音源を3〜4つ仕上げたころにはリスニング力が見違えるほど向上していると断言できます。
決して簡単な道のりではありませんが、シャドーイングの学習効果が私の実体験から自信を持って保証します。英語力を身につけて人生を変えたい人はぜひ挑戦してみてください。
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