
- 急に海外部署との定例会議に招待されて発言を求められている
- 海外赴任の辞令を受けて3ヶ月後から現地子会社で働くことになった
- 英語学習を続けているのに、なかなか英語を話せるようにならない
80点英語ブログ運営者のゆうです。
仕事をする中で、急に英語コミュニケーションが必要になることもあるでしょう。本来なら正しいインプット学習とアウトプット学習を組み合わせてコツコツ地道に継続するのがスピーキング学習方法の王道ですが、短期間で成果を出すことが求められる状況では最適な手段ではありません。
本記事では、そんな社会人の悩みを解決するために、日本人が英語を話せない主な原因を解説しつつ、高度な英語知識がなくても短期間で英語を話せるようになる言い換えトレーニングを紹介します。
日本人が英語を話せない原因は3つの「○○すぎている」こと

「英語を話せる」の基準を上げすぎている
多くの日本人がネイティブと流暢に会話ができる英語力を身につけないと「英語を話せる」とは言えないと認識しています。
高い目標に向かって努力することは素晴らしい一方で、自分の現状の英語力とかけ離れた目標設定は挫折の原因にもなってしまいます。そもそもネイティブと流暢に会話できるようになるまで「英語を話せない」のかと問われたら、私の答えはNOです。
中学レベルの英語知識を持っている人は、ゆっくり時間をかけさえすれば簡単な言い回しを発話できるはずです。
【日本文】私は午後にお客さまとの打ち合わせが入っています。
【英 文】I have a meeting with my customer this afternoon.
文法力に自信がない人でも、関連する英単語をとりあえず並べてみることはできるはずです。お世辞にも聞き手に親切とは言えませんが、相手に自分の意図を伝えるという会話本来の目的は達成していると言えます。
【日本文】私は午後にお客さまとの打ち合わせが入っています。
【英 文】I ‥ afternoon ‥ meeting ‥ customer..
日本人の多くは、自分が思っている以上に英語を話すために必要な英語知識を備えています。完璧な英語を話せないことを悲観せずに、「できないこと」ではなく「できること」に目を向けてみましょう。
小さなミスを気にしすぎている
文法間違いなど小さなミスを意識しすぎて英語コミュニケーションができなくなっている日本人も少なくありません。
完璧な言い回しじゃないと自分の意図が正しく伝わらないと思い込んでいたり、間違った表現だと話し相手に馬鹿にされてしまうと発話を躊躇してしまうのが主な理由として挙げられます。
学校の試験ではちょっとしたスペル・文法ミスも減点対象になりますが、実際の会話において多少のミスは意思疎通においてなんら支障になりません。
学生時代に短期留学先で知り合ったインド人の友人と食事に行った際、彼はレストランの店員と堂々と英語で会話をしていました。彼の英語試験の成績はお世辞にも良いとは言えず、実際に時制や文型など頻繁に間違えていましたが、メニュー注文など店員とのやりとりは問題なく成立していたのです。
繰り返しになりますが、多くの日本人は既に英語を話せるだけの英語力を身につけています。メッセージを一言一句完璧に伝えようとした結果、多少のミスを気にしすぎて口が動かなくなってしまっては本末転倒です。英語は単なるコミュニケーション手段の一つであり、完璧を求めすぎる必要はないことを忘れないでください。
日本語の直訳にこだわりすぎている
私にとって英語を話せない最大の原因が直訳にこだわりすぎていることでした。普段日本語でやりとりしている内容をそのまま直訳しようとして、適切な英単語や英語表現が思い浮かばずに口が止まってしまうのです。
- 【話したい内容】彼の行動は予測不可能だ。
- His behavior is ‥(あれ、予測不可能ってなんて言うんだっけ。。)
この「直訳にこだわりすぎている」は、先に紹介した「基準を上げすぎている」「小さなミスを気にしすぎている」と密接に関係しています。
「直訳を意識しすぎて思ったように言葉が出ない」→「なんとか単語・表現を思い浮かべてもうろ覚え知識のため細かなミスが気になる」→「英語を完璧に話せないことに落ち込んで会話に消極的になる」という負の連鎖です。
しかし、そもそも会話において全ての日本語を英語に直訳しようとする考え自体が間違いなのです。
英語と日本語では日常会話で必要な単語数が圧倒的に異なります。英語では基礎単語1,000〜2,000語で会話の8〜9割をカバーできる一方、日本語で同程度の会話ができるようになるには3,000〜5,000語程度の語彙力が求められます。
つまり、英会話では平易な基礎単語・表現が多用されるため、難しい言い回しの多い日本語の内容を直訳していると、ネイティブからは「ずいぶんお堅い言い回しをする人だなぁ」と思われているのです。
言い換えトレーニングが3つの「〇〇すぎている」を解決する

言い換えトレーニングとは
言い換えトレーニングとは、伝えたい日本語の内容(原文)を簡易な英語表現に言い換えて発話する学習方法です。
- 【原文】彼の行動は予測不可能だ。
- His behavior is unpredictable.
- 【言い換え文】彼がどのように行動するか知るのは難しい。
- It is hard to know how he will act.
自分がよく知っている基礎的な英語表現に限定して発言内容を組み立てる習慣を持つことで、「基準を上げすぎない」「小さなミスを気にしすぎない」「直訳にこだわりすぎない」スムーズな英会話が可能になります。
言い換えトレーニングでは、伝えたい内容の本質を見抜き、より平易な言い回しで表現できる言い換えスキルの習得が目標になります。単語や文法暗記のような一般的な語学学習と異なり、言い換えスキルは短期間での習得が可能なため、急に仕事で英語が必要になった社会人にとっておすすめの特効薬なのです。
言い換えトレーニングの具体的なやり方
言い換えトレーニングは、以下の4ステップに沿って進めていきます。
- 日本語の原文を用意する
- 本質的な内容を変えずに平易な日本文に変換する
- 変換した日本文を英訳する
- 英訳文の音読を繰り返す
本章では、各ステップの具体的なやり方について詳しく解説していきます。
日本語の原文を用意する
まずは、言い換えトレーニングで使用する日本文を用意します。日本文の内容に特段の制約はありませんが、可能であれば職場での上司・同僚との会話内容を参考にしてみましょう。自分にとって身近な内容にすることで、学習モチベーションを維持しつつ実践で役立つスピーキング力を身につけられます。
しかし、日本文をイチから自分で準備するのが苦手な人もいるかもしれません。そんな人におすすめなのが、新聞やネット記事の活用です。同じ仕事業界の記事や個人的に関心のある記事の中から使えそうな文章を抽出してください。
例えば、自動車業界に従事している人なら、日経新聞の記事から以下の文章を選んでみることもできるでしょう。もちろん、もっと文章が短く簡単な日本文を選んでも問題ありません。
- A社は今後、投入する新型車を原則EVのみとする方針で、脱炭素規制の厳しい欧州でEVシフトを前面に打ち出す。
もちろん、もっと短く簡単な文章を選んでも大丈夫です。あくまで言い換えトレーニングの本番はステップ2以降。あまり原文の用意に時間をかけすぎないように注意してください。
本質的な内容を変えずに平易な日本文に変換する
言い換えトレーニングで扱う日本文を用意できたら、メッセージ内容の本質を変えずに平易な日本語の文章に言い換えます。この言い換えスキルの習得こそ、本トレーニングが目指すゴール地点です。ぜひ真剣に取り組んでください。
先ほどの例文だと、以下のように言い換えることができます。
- 【原文】A社は今後、投入する新型車を原則EVのみとする方針で、脱炭素規制の厳しい欧州でEVシフトを前面に打ち出す。
- 【要点】A社が欧州でEV中心の生産をすること
- 【言い換え文】A社は欧州でEV販売に注力していく予定です。
上記はあくまで一例に過ぎません。人によって言い換えパターンはさまざまなので、細かい表現はあまり気にし過ぎずに、原文の要点を伝えられる内容にする点のみ意識してください。
言い換え文を英訳する
日本語の原文を平易な表現に変換できたら日本語の言い換え文を英訳します。言い換え文の作成と同じく英訳文の作成にも唯一解はありません。一人ひとりの英語力や好みに合った英文を作成してください。
- 【原文】A社は今後、投入する新型車を原則EVのみとする方針で、脱炭素規制の厳しい欧州でEVシフトを前面に打ち出す。
- 【言い換え文】A社は欧州でEV販売に注力していく予定です。
- 【英訳文】Company A is going to focus on the sales of electric vehicles in Europe.
ただし、英訳に際して一つだけ注意点があります。なるべく辞書やネット検索に頼らないで既知の英語表現のみを使うように心がけてください。既に持っている英語知識に基づいて作成した英文は、「英語を話す行為」にさえ慣れてしまえば、実際の会話で使いこなせるフレーズになります。
英訳文の音読を繰り返す
上記の3ステップで一連の言い換えプロセスは完了しました。最後のステップは、これまで準備した3つの文章を用いたアウトプット練習です。
具体的には、原文に目を通して改めて要点を把握した上で、言い換え文の内容をイメージしながら英訳文を繰り返し音読してください。同じ日本語の原文を使って言い換え練習を繰り返すことで、新しい日本文に対してもスムーズに平易な英訳文に変換できる実践的な言い換えスキルを習得できます。
この英文音読プロセスは、言い換えスキルに加えて英語スピーキング基礎力を鍛えることもできます。スピーキング基礎力が身についてくると、日本文を英文に直接翻訳する感覚から日本文の内容をイメージとして思い浮かべたものを英語で表現する感覚に変化していきます。日本語と英語をイメージで結びつけることで「英語を英語で理解できる」ようになり、スムーズに英語を話せるようになるのです。
ただし、言い換えトレーニング本来の目的は、あくまで言い換えスキルの強化です。スピーキング基礎力を重点的に鍛えたい場合は、瞬間英作文トレーニングに取り組むことをおすすめします。
言い換えトレーニングの効果を引き上げる3つのコツ

完璧主義を捨てる
言い換えトレーニングで最も重要なのは、完璧主義の考え方を捨てることです。
先ほど紹介した通り、原文を平易な文章に言い換える方法は人によって千差万別です。英語力が高い人ほど原文により近い言い換え文を用いて、より正確なメッセージを届けられるでしょう。しかし、英語初心者がいきなり原文に近い洗練された言い換え文を目指してしまうと、肝心の英訳ができず何も話せず終わってしまいます。
英語初心者ほど日本語の原文が持つ重要な情報に集中して、メッセージの本質には関係ない情報は捨てることを心がけてください。
- 【原文】A社は今後、投入する新型車を原則EVのみとする方針で、脱炭素規制の厳しい欧州でEVシフトを前面に打ち出す。
- 【要点】A社が欧州でEV中心の生産をすること
- 【言い換え文】A社は欧州でEV販売に注力していく予定です。
- 【捨てた情報】厳しい脱炭素規制、新型車の投入方針
最初のうちは情報を捨てることに抵抗を感じるものですが、英語を話せないのでは元も子もありません。完璧主義を捨てて、自分が伝えられる内容の範囲内で意思疎通を図る習慣を身につけましょう。
英単語・文法の基礎知識を身につける
中学レベルの語彙力や文法知識を習得することで、言い換えトレーニングの学習効果の飛躍的な向上が期待できます。
言い換えトレーニングは、言い換えスキルを鍛えることで短期間に英語を話せるようになる学習方法ですが、日本語の言い換え文を英訳できるだけの最低限の英語知識を前提としています。当然に英語知識が豊富であればあるほど、言い換えできる表現の幅が広がるだけでなく英訳文の質も上がります。
単語・文法学習は一朝一夕でこなせるものではありませんが、英語学習全ての土台となる非常に重要な知識です。英語基礎力に自信がない人は、まずは中学レベルの単語・文法知識の習得を優先することをおすすめします。
実際に英語で話してみる
言い換えトレーニングを繰り返してある程度スムーズに発話できるようになったら、なるべく早い段階から実際に英語で話しをする実践経験を積んでいきましょう。
実際の会話では、あらかじめ自分で用意した日本語の原文ではなく、話し相手から飛んでくるさまざまな話題に即座に対応できる実践的な言い換えスキルが求められます。本番のビジネス現場で失敗しないように、英会話レッスンなど練習環境をうまく活用して実践的な言い換えスキルの習得を目指してください。
しかし、日々忙しい社会人にとって、英会話レッスンの時間を継続的に確保することは容易ではありません。
そこでおすすめなのがオンライン英会話スクール。オンライン英会話スクールはスクール通学の必要がなく、早朝から深夜時間までレッスン受講が可能、レッスン予約やキャンセルポリシーも柔軟なので、受講生一人ひとりライフスタイルに合ったレッスン計画を策定できます。
ただし、英会話レッスンをとりあえず受け続けていても、残念ながら学習効果は全く上がりません。今回のように言い換えトレーニングの一環で英会話レッスンを活用する場合には、英会話を通じて実践的な言い換えスキルを強化するという受講目的を明確にして、日々のレッスンに取り組むことが重要になります。
以下記事に学習効果を上げるレッスン受講方法や自分に合ったスクールの選び方について詳しく解説しているので参考にしてください。
まとめ
本記事では、日本人が英語を話せない原因を踏まえて、短期間で英語を話せるようになる言い換えトレーニングの具体的なやり方と効果を上げるコツを解説しました。
繰り返しになりますが、学校教育で英語の基礎を学んできた日本人の多くは、既に英語を話せるだけの英語知識のインプットが完了しています。あとはその知識を使いこなすスキルを磨くだけです。
「英語を話せる」状態もレベル感によってさまざまありますが、まずは相手と英語で意思疎通を図れる状態を短期間で達成できるよう、本記事を参考に言い換えトレーニングを活用してください。
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